こんにちわ、マツキです。
最近、インフルエンザの予防注射という一見医者であれば誰にでもできるという仕事を多く行っています。
その中で
- 「ささいだと思える仕事であっても様々なことに気がつくことができるし、学ぶこともできる」
- 「ささいな仕事の中でしっかりと技術のモデル構築を行えば、他でも生かすことができる」
ということに気がつきました。
あなたはこの記事を読み終わった時に、小さくささいな仕事への見方が変わり、「なんだそんな仕事か」と思えるような仕事も楽しんで行えるようになるかもしれません。
それはパッと見の大きな仕事というものへの憧れや呪縛から解き放たれることとも言えます。
パッと見の大きな仕事というのはかっこいいものですが、仕事量も比例して多くなるので、業務をマスターするまでに時間がかかったり、業務自体に没入する必要があります。
一方で、小さな仕事というのは、マスターするまでは早いので、そこから自分で何かを発見し、攻略してみるという違ったスタイルの楽しさがあります。
小さい仕事でも気がつくことは多い
一見些細だと思えるインフルエンザバイトですが、自分の能力的なところを含めて多くのことを反省することができます。
自身のことで申し訳ないですが箇条書きすると
- 自分の書類のチェック能力の甘さに気がつく
- 書類のチェック能力を向上させることから逃げていた
- 「医者に書類の確認能力は必要ではない」という考えはダメ
- 受診者が多い時に、コミュニケーション能力が低下する、特に滑舌。
- おばさん看護師とのコミュニケーション:
周りから疎まれるおばさん看護師から言われた発言をどうポジティブに変換するか。
今までポジティブに変換できなかった理由とは。
あげればきりがありませんが、雑多に書いてこれぐらいあります。
インフルエンザの予防接種という仕事の内容は確かに、問診して接種をするだけです。
しかし、その過程で
- 気づく
- 自分を観察する
- 失敗を素直に受け入れる
といったことを大事にすれば、様々なことに気がつきます。
そして次は「その気がついたことをより成長に生かしていくには?」を「モデル」という考え方を用いて説明していきます。
モデルという概念を使ってみる
モデルとは「複雑なものをシンプルに表現したもの」というプログラマーがよく使う思考のモデルです。
この考え方を用いることによって、複雑に入り組んだ表現の世界を、本質を損ねることなくシンプルに表現することができます。
山手線の路線図
ちょっと脱線してモデルを山手線の路線図で説明してみます。
山手線を実際に描いていくとこのように縦に長い楕円です。
ですがそれをそのまま路線図として利用すると、見づらいし使いづらいですよね。
使うことを考慮すると楕円を正確に表現する必要もありません。
いつも僕たちが使っている綺麗な円形の路線図は、使いやすいシンプルな形にまとめなおしたモデルといえます。
インフルエンザの予防接種は小さな仕事
医師が行える仕事の中で、インフルエンザの予防接種というのはスタッフ数十人、設備もそこまで大きくなく、目的も疾患の予防です。
比較的規模の小さな仕事といえるでしょう。
小さい仕事の中でも構築できる技能はあり、重要である。
小さい仕事の中で構築できる技能は軽視できません。
それは、一つの技術のモデル構築がしっかりしていれば、より大きな仕事でその技術モデルを生かせるからです。
ぼくが軽視していた「医者の書類に関するミス対策」という技能のモデルを例にあげてみます。
失敗談
問診票に受診者の「はい」「いいえ」で答える欄があるのですが、その記載がされていないこと、すなわち「記載漏れ」をチェックすることも一応医師の業務の中に入っているんですね。
「問診しているんだから隅々まできいているんだろ!」と思われるかもしれませんが、問診というのは受診者の方が書類に記載されていたとしても実際に尋ねてみたら違っていたなんてこともよくあることです。
実際は大事なことは口頭で聞くのがルーチーンになっています。
しかし、何百人も受診する方がいらっしゃると、口頭での問診とその後の接種に意識がいってしまい、書類内容の「はい」「いいえ」の記載が一箇所欠けていることに気がつかないことがありました。
自分の擁護のためではありませんが、他の医師の方も同様のミスをしていたところをみると、なんらかの「ミス対策」を講じなければいけなかったんでしょう。
とはいえ、ダブルチェックという二重チェックの作業があるので、結果的に業務上、書類の記載漏れというのは起こらないでいたんですね。
「記載漏れ」の本当の原因
そういったミスが起こっていた原因は自身を深掘りすると多く挙がります。
- 第一にミス自体を「human is error」という考えで、起こっても仕方がないことしていたこと
- 第二に医師にとって重要な能力は書類管理能力ではないと思っていたこと
- 第三に書類の記載漏れというミスを「大したミスではない」と思っていたこと
- 第四にダブルチェックの存在に頼っていこと
しかし、こういった内容を改めて文字化して整理すると、ミスそのものについての考え方が非常に甘いことがわかります。
これは、「ミスそのものを減らすにはどうすればいいか」という「ミス対策」モデルを自分の中で明確に作る努力が欠けていたというそもそもの問題を浮かび上がらせます。
「ミスしないように」と思うだけではダメで、ミスがほとんど起こることがないための「モデル」を作る必要がありました。
モデル自体が不完全ならば、大きな作業に対しての「ミス対策」モデルも、延長線上につくられるものなので結局不完全でしょ、ということになります。
つまり、小さい物事に対する「ミス対策」モデルを構築しないことが、すべての仕事の作業のミスの頻度と関係している可能性もあります。
なので。このエピソードからは小さい仕事の中で使う技能のモデル構築は案外侮れないということがわかります。
小さい仕事での技術は共通項を持つ大きな仕事で生きる
だからこそ、大きな仕事の中にあっても小さい仕事で培った技術・工夫は生きるんでしょう。
なぜなら、その技術モデルの構築がちゃんとしているものならば、その技術モデルの共通項をもつ大きな仕事に応用することができるからです。
小さいモデルは練習台
逆を返せば、小さい仕事をする中で、大きい仕事のための練習ができることになります。
そして、その小さい仕事の中には、視点を切り替えれば、様々な技能モデルを構築することができる可能性もあります。
インフルエンザの予防接種で磨くことができる技能というと
- 「コミュニケーション」の技能
- 「注射」の技能
- 多い受診者を「捌く」という技能
- 接種不適合者を「正しく判別する」技能
- 何百人と注射を行う中、痛くしないよう「集中力を一定に保つ」技能
- 作業しやすく「環境を整える」技能
少なくあげてもこういった技能を磨くチャンスが眠っています。
そして、見つけたら、伸ばそうと本なり情報なりに触れていって、身に付けようとしてしていくことです。
これらの技能モデルをしっかり構築すれば、大きな仕事でので役立足せることができます。
仕事に大きいも小さいもない
今までの内容を踏まえると、仕事を大きいか小さいかというメジャーで測ることは、仕事への可能性という観点では意味がなくなってしまうかもしれません。
それは小さい仕事でも工程を細分化し、角度を変えたりすれば、様々な技能を獲得でき、自分自身成長をしていくチャンスがあるからです。
確かにその小さな仕事自体が与える人々への影響は小さいかもしれませんが、そこで成長したあなたが今後人々に与えていく影響というのは大きいはずです。
そして何より、学んで自分自身成長していくことは楽しいことです。
仕事というのは聞いた感じの規模の大きさというのはありますが、その内容自体ですごい・すごくないが決まるのではないのでは?と考えることができます。
結論、小さい仕事でも学びは多いです。
僕がやったのはインフルエンザの予防接種です。
ですが、その業務内容をしっかり行う過程で、何かへつながる技能を身に付けることもできるでしょう。
小さい仕事は案外侮れないのです。
おばさん看護師との付き合いかたは後で書こうかなと思います笑
そして
- そういった視点を持ち成長していこうとすることは楽しいし
- 組織に所属しないフリーランスの医者でもできる
- そこで培った技能モデルは共通項を持つどこかで生かすことができる
これは今の時代、医者が組織にしばられず仕事に楽しみを見つける方法ではないでしょうかとも思ったりもします。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
あたなの仕事の仕方に良い影響を与えるきっかけになれたら幸いです。
今回は以上になります。