こんにちわ、マツキです。
現在はフリーランスで医療をやったり、プログラミングを学んだり(2021年当時)
自分で時間を作って生きています。
サクッと自分はこんな人です。
- 強い動機なく医者に
- 医者の働き方に不安を覚えすぎて一度フリーに
- ブロガー1本だった頃あり
- 組織や非合理に耐えられない
僕自身あまりよく知らずに医者という仕事につき、学生時代までの自分の職業意識と全く異なる世界に悩みました。
働いてて全く大変じゃない仕事じゃなかったらよかったんですけど、どこも問題だらけで働いてる人の感覚も少し麻痺しているような感じを見受けました。
それでも疲弊しながらタスクをこなす、そこに・・・
何のためにこの仕事をやっているのか??
という超基本的なとこが抜けているようにも、ちょっと思ったんですね。
患者のため?だけだとしたら、慈善行為やボランティアとしての活動では?
仕事として行う以上、他の要素も検討する必要があるのはもちろんですし
それは他の業界でも普通なことなのですが、
そういった点は学校教育や医学部教育ではあまり触れません。
そこで、「医者とはどういうものなのか」僕のようなワカゾーから見たものだけでなく、長年やっている理解ある医師から俯瞰した情報を聞けたらありがたいですよね。
ということで、実際の世界を下の本から知ってみたのでアウトプットしてみました。
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医者という職業のこと、知っていますか?
みんな「医者になりたい」って医学部入ったり「いい医者になる」といっていろんな方向性を決めていきます。
大学生のうちだとなかなか試験の勉強ばかりで職業自体のことを知る機会はないかもしれませんし
メディアに取り上げられるようなかっこいいところばかり頭にはあるかもしれません。
ですが冷静に…そもそも医者ってどういう職業か知ってますか?
そもそも、職業や雇用形態、社会の仕組みについて考えたことありますか?
どんな優秀な医学生も、知ってるわけがないと思うんです。
だって体験したことがないんだから。
世の中経験しないとわからないことばかりです
世の中、体験してみないとわからないことだらけです。
- どんな仕事内容・勤務スタイルで
- どんな業界で
- どんないいところがあって
- どんな問題があって
- そもそも自分は向いているのか
体験してみないとわからないけれど、それでも体験するまでに長い時間がかかるのが医者というもの。
6年かけて「いやそもそも向いてなかったわ」ってなったら普通に嫌じゃないですか?
試験勉強に追われるよりももっと大事なのは、その目的地のことを事前に知ることでは。
医者のぶっちゃけ話は貴重
前置きが長くてすいません。
今回は長年医者をやられた方が綴った本の内容を少し取り上げるのがテーマでした。
ただ、著者が経験された時代は昭和ですので、今の時代なんか多分ヌルい方。
昔はもっとハードで手探りなことだらけだったんだろうと想像するのは難しくないですよね。
そんな昔から今に至るまでの経験や考察を形に残してくれる、本という存在はめちゃくちゃ貴重です。
なぜなら、ドラマや漫画などの広報を主体としたメディアは脚色が多く、世間体がいいところだけが描いていたりすることも少なくない...からです。
著者の簡単な説明
ソースは大事なのでさらりと確認しますと
里見清一先生
・鳥取県出身
・東京大学理Ⅲ卒
・内科医
・年齢59歳(令和2年現在)
・書籍の発行年 平成28年
医者3年目の出向先で医局を辞め別の病院にいってしまったと語られており、著者の先生もわりと縛られない発想の方だったのかもしれません。
内容をPick up
ここからは本の内容に触れていきます。
医学部志向の流れを疑問視
著者はだいたいこんなところを疑問視しています。
・成績が良い=医学部に行く
・医学部志向の増加傾向
・医者になろうと言う動機が偏差値であるご時世
そして、偏差値が良いというだけで医学部に入った人を「どう考えても医者にならない方がいい」と伝えています。
ぎくっとした人もいるんじゃないでしょうか?
その中でも特になったらまずいひとは主にコミュニケーションがまともに取れない人、不勉強な人などを挙げています。
ここに関しては、一旦置いときますけど…
なぜ医学部志向があるのか?
そもそもなぜ「とりあえず医学部にいく流れ」、「医学部思考」があるのか?
これは
「医者になっとけば将来安泰、安全。人も助かる自分も助かる」
という医学部至上神話を持っている人や親が未だにいるからじゃないでしょうか。
たしかに医師免許は生涯資格ですし、パワーのある免許です。
ただ、まともにコミュニケーションがとれなかったり不勉強が続くと、著者が言うように自分も患者もあまり幸せにはなれません。
「まともなコミュニケーション」とは・・
「まともなコミュニケーション」と聞くと何でしょうか?
「簡単なことじゃないか」と思うかもですが
意外と社会を生きていくと様々なストレスに次々と晒され
心身ともに暮らすというのは実は努力なしにはできないことに気がつきます。
業務過多や制度自体の問題、責任の押し付け合い、メディアには取り上げられないような微妙なところがたくさんありますし
人間メンテナンスをしていないと、心も体もどこか壊れるからです。
これは言うのがやや憚られますが
医者の自殺があったりするのをみると若干否定はできないですよね。
医者になる前にコミュニケーションがだめなのもアレですが、
医者になってからもコミュニケーションに支障を来たす人になる誘因というはそこらじゅうに転がっているのです。
人によっては高い偏差値でも「茨の道」
なので、こういった環境下で長期的に一般的な感覚を保っていくというのは意外とタフさだったり元々の人あたりの良さというのが大事になってくるわけで。
そこに偏差値云々というのはそこまで関係ないのかもですね。
一般的には「安泰な道」と思うこともあるかもしれませんが一概にそうではなく
人によっては「ずっと茨の道」だったりします。
そして、偏差値の高い人は一般の標準偏差からどっかしら外れていることが多いので、「変わり者」と表現されている人が少ないないです。
それが、一般の方とコミュニケーションに支障をきたす、そんなことだってあると思います。
医学部6年間は国家試験のための知識の詰め込みである
医学部6年間は国家試験のための知識の詰め込みである
医療や医者人生の全体像を把握する感覚を養う時間は残念ながら大学時代はない上、いきなり現場に行ってからでも遅いと。
元も子もないことを筆者は話します。
「え、じゃあ全体像を把握する最適なポイントとはいつなんですか?」言われたら
この話の上だと「医学部6年間が始まる前」になりますが、中学高校でそんな芸当ができたら苦労はしません・・・。
なので、基本的には医者がどんなものか最初から知っているのは「無理ゲー」、その人に合っているかどうかは開けてみないとわからない「パンドラの箱」ということになります。
見方を変えれば「みんなよくわからないけど医者になって、よくわからないけどキャリアを進んでいる」人が多いということです。
実際、周りの医者に聞いてみてください。
そんなに強い動機があって、医者になった人が少ないことがすぐにわかるはずです。
なので、解像度の高い医者のキャリアというのは、わりと運ゲーに近いと確信しています。
強いて言えば・・・
少しでもキャリアを明瞭にする試みとして言えばですが、下記があります。
- 親が医者なら、親から教わる
- 学生時代の実習中に上の先生に聴き込む
「そうだよ。親が医者だったら聞けばいい、上の先生に聞けば良いじゃん」と思うかもしれません。
ですが、親が医者だとしても親の時代とは周囲の業界だったり制度だったり医療の現状だったり、前提が全く異なり、話が全然変わってきます。
親も同様に俯瞰した上で医者になったわけでもないので、同様のキャリアで同様に幸せになれるかと言ったら再現性はあんまりないんですよね。
上の先生でもそうです。
はっきり言って上の先生もよくわからないけど、とりあえず前に進んでいます。
というか、上の先生が学生に対していうことなんてほぼほぼ勧誘です。
(たま〜にすごいいいひといますが・・・)
なんで、他者からの情報は雀の涙程度の参考ぐらいにしかなりません
大学病院について
長くいる場所ではないとよく言われる大学病院。
僕の場合も、大学病院勤務は専門医取得の流れがあったからで、かなりしぶしぶ・・?で
組織性が強く雑用が多い印象があったので、大学病院での勤務がどういうものなのか頭に入れたいとさえも思いませんでした。
著者的には
大学病院の医者は研究が本業、臨床は「片手間」
大学病院は教育機関でも、新人指導はストレス?
新人指導というのは本書では、目上の人からしても結構難しい・・・と書かれています。
それは上級医からしたら診療行為自体は自分でやった方が早く、教える側との相性が悪いと双方にかなりのストレスであるから。
忙しさの相場・バランス
・当時(新人の頃)は「気を休める」という発想がなかった
・一人前の医者として診療に当たるようになったことが面白くて仕方がなかった
・「さしあたってしなければならないこと」は朝9時までに済ませる
基本的に著者はほぼ毎日病院に行っていたようです。
昔と比べるとワークライフバランスが意識され業務は緩和されましたが今度は
・忙しすぎたら仕事の質が落ちるが、緩ければそもそも一人前になれない
・勤務時間制限の遵守で患者引き継ぎが多く、ミーティングに参加できない
などと単純に休みを増やしたという内容から仕事のバランスがとれるわけでもなさそうです。
やはり医者はいまだに多忙になりがちな仕事であることが察されます。
臨床の現実
実際の仕事をするにあたっては理屈やデータよりも現場でどのくらいやってきたかがモノを言う。
これは新人の医者が長年現場でやってきたコメディカルの人には知識的に手も足も出ないということでもあります。
医者は潜在的にプライドが高い人が多いので、医学生はこれ知っておいた方が上手く立ち回れるかな・・と思います。
他、もろもろ
発言していた内容について浅くPickUpしていきます。
東大理Ⅲが受験勉強は役に立たないと豪語
理由は以下です。
・医療にはそもそも時間制限がケースバイケースである
・試験には答えはあるが患者が必ず助かる方法なんてない
・合格点の発想が危うい(患者が致命的になるケースがあるため)
本当の医者になりたいのなら試験を通るためのような、うろ覚え競争は大学に入ってからは辞めろ...etc
医局、学位について
・組織に反発的なものは医局に向かない
・学位は足裏の米粒程度の存在で「必要ない」
・医局入局しても「飛ばされ」、対価が学位では見合わない
これから医師になる人であるならば、どうしても気になるところではあると思うんですが
こう書かれているところをみると正直心配になりますよね。
AI時代の医療、これから生き残る医者
・AIに名医の思考や判断能力がとって替わられることは間も無く可能になる
・保険診療をやっている勤務医、開業医は展望が暗い
・保険医療制度が脆弱である
・高齢者の爆発的増加
・医師以外のコメディカルが医師側の仕事にまで着手できるようになっていく
医師は今後影が薄くなるだろうとまで断言しています。
記事の終わりに
いかがでしたでしょうか。
この業界に幅広い視野で長く過ごしてきた人が世に残してくれた経験談やありのままの現実は少し参考になります。
この記事内では語り尽くせないことも多く、
きっかけぐらいにでもいいので、少しでも自分がいく道を一考してもらえたら幸いです。
それではここまで読んでいただいてありがとうございました。
今回は以上になります。